【レビュー】『シカ問題を考える』から学ぶ日本の農村と気候変動の行方

本の紹介

24歳会社員のおにぎりです。

私たちが暮らす日本は、四季折々の豊かな自然と多様な動植物に恵まれています。
けれども、その自然のバランスは今、大きく崩れつつあります。

その象徴ともいえるのが「シカ問題」です。

本書『シカ問題を考える』を読むことで、
日本の暮らしや農村の未来、そして気候変動によるリスクについて深く考えさせられます。

この記事では、本書から学んだことや、考えさせられたことをご紹介します。

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こんな人におすすめ!

  • 日本の自然や環境問題に関心がある人
  • 農村や地方の未来に不安を抱いている人
  • 気候変動や災害と私たちの暮らしのつながりを考えたい人

『シカ問題を考える』は、日本社会全体を考えるヒントになる一冊です。


シカが増えると森が変わる

昔に比べて、シカの分布は日本全体で大きく広がりました。

かつては一部の山奥にしかいなかったシカが、今では北から南まで広く生息し、
農村や市街地にまで現れるようになっています。

シカが増えると何が起きるのでしょうか。
それは「森そのものが変わってしまう」ということです。

例えば、シカはササを好んで食べます。
ササが食べ尽くされると、その土地からササが消え、植物相全体が変化してしまいます。
さらに、ササがなくなると雨が直接地面を打ち、土壌が流出。
結果として土砂災害のリスクが高まり、森林の再生も難しくなります。

つまり、シカの増加は「農作物を荒らす厄介者」ではなく、
森そのものを変えてしまう存在なのです。


生態系を揺るがす「シカの特異性」

シカの影響が他の動物と違うのは、光合成器官である「葉」を直接食べること。
そしてそれを大規模に行う点です。

シカは、樹皮をはぎ、大木を枯らし、ササを食べ尽くし、森林の世代交代を止めてしまいます。
本書ではこの影響を「生態系エンジニアリング」と呼んでいます。
ビーバーが川の流れを変えるように、シカもまた生態系全体を変えてしまうのです。

私はこの説明を読みながら、これは単なる「獣害」の話ではなく、
日本の森の未来を左右する深刻な問題なのだと実感しました。


農村の衰退とシカ問題

本書が強調しているのは、「シカ問題は結局、日本の農山村の衰退に行き着く」という点です。

農村の人口減少や高齢化により、人が自然を管理できなくなったことが、
シカ問題を加速させています。

これは「森の奥で起きている自然の話」ではなく、
防災・資源確保・健康の問題に直結する社会的課題だといえます。


気候変動と野生動物の未来

さらに考えさせられるのは、この問題が気候変動と深くつながっていることです。

温暖化によって積雪が減れば、シカは冬を越しやすくなり、個体数がますます増加します。

本書を通して強く感じたのは、野生動物の問題は気候変動と切り離せないということ。
シカ問題を考えることは、日本の環境と私たちの暮らし全体を考えることにつながるのです。


読者としての学び

この本を読み、私は改めて自分の立場を振り返らされました。

大学時代に森林の重要性を学んだにもかかわらず、今の仕事は全く違う分野。
知識はあるのに行動していない自分に、「本当にそれでいいのか」と問い直された気がしました。

また、本書で紹介されていた「植物の生き残り戦略」からも多くを学びました。
植物はトゲを持ったり、化学成分で身を守ったりと、自分の特性を活かして生き延びています。
そこから私は、人間も自分の強みを理解し、活かすことで困難を乗り越えられる
のではないかと感じました。


まとめ

『シカ問題を考える』を通じて気づかされるのは、
シカ問題は「動物と人間の衝突」にとどまらず、社会全体の課題だということです。

シカが増える背景には、農村の衰退や気候変動があり、
その影響は農業や森林、防災、さらには私たちの健康にまで及びます
本書は、自然との関わり方を改めて考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

これは遠い森で起きている出来事ではなく、私たち自身の未来の問題です。
まずは現状を知ることから始めることが大切だと感じました。

ちょうど先日、2025年8月28日放送の文化放送ラジオ「Snow Manの素のまんま」で、
ラウールさんがダブレット(doublet)の2026年春夏コレクションにモデルとして
参加したときの話をされていました。
このブランドは「第一次産業を応援したい」という思いを込めて、
食べ物をモチーフにした衣装を多かったそうです。

シカ問題も含めて、林業や農業など日本の第一次産業は今まさに大きな転換点にあります。
本書をきっかけに、自然や農村の未来について考える人が増えたらうれしいです。

ぜひ一度手に取って読んでみてください。

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